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MOVIE

Addio,Fratello Crudele~さらば美しき人~

1971 | イタリア |105 min | Colour

ジュゼッペ・パトローニ・グリッフィ

― あらすじ ー

 北イタリアのマントバ地方。長い外遊を経て帰郷したジョバンニ(オリヴァー・トビアス)は美しく成長した妹アナベッラ(シャーロット・ランプリング)の姿に驚き、密かに恋心を抱く。罪の意識に苛まれながら、二人は惹かれあい、ついには一族を破滅へと導く惨劇へと転がり落ちていく・・・

☆☆☆

 原作は17世紀の劇作家ジョン・フォードの戯曲「あわれ彼女は娼婦」。

この戯曲を映画化したかったルキノ・ヴィスコンティは、アラン・ドロンとロミー・シュナイダーの配役で舞台化したものの、映画化には至らなかった。

その後ヴィスコンティとも親交の深かったジュゼッペ・パトローニ・グリッフィが数年をかけて映画化に漕ぎ着けることとなった。

音楽は先日訃報を聞いたばかりのエンニオ・モリコーネ。

撮影はヴィットリオ・ストラーロ。

 60年代70年代イタリア映画の粋を集めたこの作品。

 作品の隅々まで美意識が張り巡らされていて、圧倒されてしまう。石造りの城、イタリアモダンアートの部屋、豪華な衣装、北イタリアの美しい景色、、、全てが絵画のようでため息が出る。

 とりわけ、衣装へのこだわりがすごく、イタリアン・ウールのツイードを使ったドレス、猿の毛皮を使った従僕の外套、ジュード生地の編み上げシャツ、ウールを限りなく透けるように編んだガウン・・・今年の秋冬のシャネルやイヴ・サンローランのコレクションに登場しても少しもおかしくはないだろう。

 特に、透けるようなウールのガウンはありそうでないアイテムで、アナベッラが夫のソランツォに髪を摑まれ、引きずり回される残虐なシーンで着用しているのだが、このガウンの優雅さに見とれてしまって映画がニの次になってしまう。

 また、71年制作ということで、「ベニスに死す」と同じ年、元祖美少年映画の年であったのか、出演者が美形すぎる!これもまたストーリーがすんなり入ってこない要素の一つで、濃い顔好きな人にはおススメだが、いささか現実離れしているように思えてしまう。

 兄役のオリヴァー・トビアスは美しいのだけれども、どうも演技が大袈裟というか、スッと感情移入できないタイプで、この映画以外取り立てて有名な作品にはでていないようだ。

 アナベッラ役のシャーロット・ランプリングといえば、「愛の嵐」なのだけれど、それはまた別の機会に述べるとして、この作品の彼女はまだ幼さが残っていて、兄を愛しながらも夫のソランツォにも惹かれてしまう、子どもっぽい素直な感情が伝わってきて、彼女の確かな演技力を感じることのできる作品だ。

 16、17世紀イタリア、ルネッサンス末期。あらゆるものが腐りかけて腐臭を放ち始めた頃、おとぎ話のような美しい世界で起きた恐ろしい惨劇。これほどヨーロッパの全てを詰め込んだ話もないだろう。

文責;Y



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