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Judee Sill ~The Kiss~ - grunge house records

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Judee Sill ~The Kiss~

アーティストの実生活とその人が生み出す芸術には乖離していることが多々ある。

ジュディ・シル(Judee Sill)もそんなアーティストの一人だ。

彼女の音楽を聴いたら、あらゆる滋養が、許しが、人生の喜びと悲しみが詰まっているように思われる。

☆☆☆

 1944年、カリフォルニアのスタジオ・シティで生まれたジュディは、バーを営む父と母、兄と暮らしていたが、8歳の時父親が肺炎で亡くなると、母は幼い二人を連れてロサンゼルスに移住。母は再婚後酒に溺れ、ジュディはそんな母に反抗するようになり、高校の友達と窃盗や麻薬に手を染めるようになる。

少年院に入れられたジュディはそこでゴスペルなどの教会音楽に出会い、ピアノを習得した。

 少年院から出て、ロサンゼルスに戻り、バーなどでキーボード奏者として活動するうち、グラハム・ナッシュやデイヴィッド・クロスビー、Asylum Recordsを設立したデイヴィッド・ゲフィンと出会い、本格的な音楽活動を始める。最初のアルバム「Judee Sill」はグラハム・ナッシュのプロデュースで制作され、高い評価を受けた。しかし、2作目となる「Heart Food」の収録までには2年を要し、3作目の制作の話が持ち上がった頃には再び薬物中毒となっていたため話は進まず、徐々に話題性を失っていったジュディは表舞台から遠ざかってしまう。

 1979年、深刻な薬物中毒に陥っていたジュディは、誰にも知られることなく、ひっそりと、コカインの過剰摂取によるオーバードーズで35歳の短い人生を閉じた。

 

 2作目の「Heart Food」に収録されている「The Kiss」は、天使との会話、神への祈りだろうか。

Once a crystal choir
appeared while I was sleepin'
and called my name
and when they came down nearer
Sayin', “dying is done”,
then a new song was sung
until somewhere we breathed as one
(and still I hear their whisper)

まるで自身の孤独で凄惨な最期を予期していたかのような詩が胸をうつ。死の間際、天使が現れて、「死は終わった」と囁いてくれただろうか。

文責; Y

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