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非核神戸方式と核シェアリング議論

ロシアのウクライナ侵攻の情報をTwitterで追いかけていると、なぜか安倍晋三や松井一郎や橋下徹などの写真が上がってきて、「邪魔やな」と思っていたのであるが、どうやら安倍氏が「核シェアリング」なるものを議論しようとTVで発言したことに端を発しているらしい。

「またアホなことを」

と笑っていたら、世論調査では7割の人が賛成しているとの情報があって腰を抜かしそうになった。

2014年の集団的自衛権の憲法解釈変更以来の憲法9条論議であるが、この8年で世論がいかに変遷してきたかが見て取れる。

非核神戸方式

「戦争」や「自衛」「核武装」などというと、ちょっとスケールが大きくて、実感も涌かないし、どうしても議論が空論になりがちなので、ここは地方、神戸市にフォーカスを当てたい。

神戸市では1975年に「核兵器積載艦艇の神戸港入港拒否に関する決議」が全会一致で採択され、以後、神戸港に寄港する外国軍の艦船に核兵器を搭載していないことを証明する「非核証明書」の提出を義務付けている。これは条例ではなく行政指導にすぎないが、アメリカ海軍はその証明書の提出を嫌気して1975年以降寄港していない。

国(外務省)はこの「非核神戸方式」に対して、「地方公共団体の権能の行使としては許されない」と批判している。

しかし、この決議が採択されたことによって、神戸港の軍港化を阻止しているというのは間違いないのではないだろうか。

2014年MBSで放映された「よみがえる最前線 神戸と核と日米同盟」で「非核神戸方式」が詳しく描かれているのでぜひ見てもらいたい。

この番組の中では、神戸市のポートアイランドにおける「医療産業都市構想」への懸念も描かれている。この構想にはアメリカのベクテル社が深く関わっていて、有事の際には米軍の負傷兵の受け入れ港としての機能を果たす、とのことである。

負傷した兵士を受け入れるのは当たり前ではないか、との意見が聞かれそうだが、事はそれほど単純なのだろうか。

少し古いが面白い記事があった。

「潜水艦開発の本拠・神戸で関係者に中国人女性が不自然に接近

                  ―週刊ポスト2013年10月4日号」

https://www.news-postseven.com/archives/20130927_212902.html?DETAIL

日本で唯一潜水艦の建造を行うことができる都市、神戸。日本のソナーの技術はかなり高く、産業スパイやら軍事スパイやらがどしどし来ているという。それはそれとして、神戸というのは、何か紛争が起きた場合には攻撃対象になる危険をはらんでいるということだ。

それゆえ、危険な核を持ち込ませたくない、という選択肢が浮上し、それに市民が賛成したということである。

「米軍の負傷兵受け入れ」というのもその同列に考える必要があるのではないだろうか。

日米同盟は果たして機能するのか

今回のウクライナの惨状を見るにつけ、心が痛むと同時に胃の中に鉛を詰め込まれたような重苦しい気持ちになった。

というのも、第二次世界大戦から戦後、現在までのウクライナの歴史と、日本のそれとは驚くほど似ているからだ。

本を読んだり、Twitterで時系列を追うのは大変なので、こちらの映画が分かりやすい。

「ウクライナ・オン・ファイヤー」



ウクライナは第二次世界大戦中、ソ連とも戦っていたが、ナチスにも協力し、ウクライナ民族解放運動と称してポーランドで大量のユダヤ人虐殺なども行っていた。もちろん戦争犯罪であり、ニュルンベルク国際軍事裁判で裁かれるべき戦争犯罪である。が、裁かれるどころか、首謀者たちは国外に逃げ、密かに匿われていたという。アメリカの助けによって。ソ連に抵抗する革命分子として、戦争の火種として・・・

かたや日本は敗戦後、東京裁判でA級戦犯となった東条英機らは処刑されたものの、岸信介、児玉誉士夫、正力松太郎など、アメリカに協力する者たちは解放され、日本の首相にまでなっている。もちろん冷戦の中、世界の共産主義化を防ぐために・・・

ウクライナの危機が日本の危機になる日はそう遠くない、と皆が騒いでいるけれども、実は2019年にすでに起きている。

トランプと北朝鮮の金正恩の板門店の会談である。

この時、南北朝鮮の和解が成立して、戦争が終結し、米軍が撤退したものの、朝鮮半島に親米政権が樹立していたらどうだろう?中国の喉元に「核」を突きつけて中国が果たして黙っているだろうか?

もし、ウクライナのように中国が北朝鮮に侵攻し、アメリカがそれを阻止するために日本の自衛隊を派兵することを要請したらどうだろうか?

日本はもちろん攻撃対象だが、アメリカ様が守ってくれない、というのも今回のウクライナの一件で明白である。

となれば、「核シェアリング」に何の意味があるのだろうか?単に攻撃対象として明確になるだけではないのか。 そして神戸は、、、もちろん最重要拠点として戦火は免れないだろう。

存亡の危機

「非核神戸方式」は現在存亡の危機かもしれない。兵庫県知事は維新出身。維新の代表である松井一郎氏は「核シェアリング」を議論すべきだ、と息巻いている。その波が神戸市に押し寄せたら、一地方都市の平和への小さな試みも打ち砕かれてしまうかもしれない。

「核の傘の元でぬくぬくと生きている日本人が恥ずかしい」そのような意見をよく目にする。

だが、世界の紛争の火種を作って、まき散らし、収集つかなくなった紛争地域に日本人が行って、欧米の尻ぬぐいをすることの方が恥ずかしいのではないだろうか?

その議論がすっぽり抜けている日本のジャーナリズムが実に残念である。

文責:矢向由樹子

“非核神戸方式と核シェアリング議論” への2件のフィードバック

  1. フジタ より:

    兵庫の維新支持層はアンチ自民なのか?どうも神戸と兵庫の住民意識の違いが他者からは分かりづらい。

    • yukikoyako より:

      大阪府議会は維新と自民対立、兵庫県議会は半々て感じですわー
      前回井戸さん陣営にしびれを切らした自民党兵庫県議連が維新になびいた結果、自民党候補負けましたわ。

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