MOVIE
Ghost World
2001 | 111 min | Colour
Terry Zwigoff
あらすじ
ロサンゼルス郊外。
少し風変わりな女子二人組イーニド(ソーラ・バーチ)とレベッカ(スカーレット・ヨハンソン)は、高校を卒業したけれど大学には進学せず、就職するでもなく、とりあえず自分たちのやりたい事を見つけるために、二人でアパートを借りて生活しようと計画する。
ある日ふざけて出会い系広告に応募したイーニドは、ブルース・レコード・コレクターのシーモア(スティーヴ・ブシェミ)と出会い、段々惹かれるようになる。だがイーニドは一向に自立する気配はなく、働いたかと思えば一日でクビになる始末。ますます自分が社会不適合者だと認識していく。一方のレベッカはコーヒーショップで働くようになって、少しずつ大人の社会に馴染んでいく。二人の間に少しずつ亀裂が生じていき、イーニドはある決断をする・・・
☆☆☆
思春期あるある。
個性的な女子はモテない。
個性的な女子は年上の男に惹かれる。
個性的な女子は自分と同等かそれ以上にオタクな人が好き。
でも個性的な女子は本当は悩んでいる。
個性的な女子は自分が嫌い。
学校に馴染めなかったり、人とうまくコミュニケーション取れなかったり、好き嫌いがハッキリしすぎてきつい口調になったり、態度が悪くなったりして嫌われてしまう・・・。
もしそんなことで悩んでいるティーンエイジャーがいたら、学校なんか別に行かなくていいし、社会に無理やり合わせる必要もない、と言いたい。
親が、先生が、友達が、無理やりあなたを型にはめようとするなら、それは拒否した方が良い。
一時、孤独になるかもしれない。
物事が何もかもうまく行かなくて、裏目に出てしまう時もある。
そんなの長い人生で一瞬のことだよ。
でも若い人にとってはその一瞬が永遠に思われてしまうのだろう。
映画の主人公はまさにそんなタイプ。多くの人は共感できるのではないだろうか。アメリカの郊外も退屈そうで、あのなんの変哲もない国道沿いのチェーン店が並ぶ風景も、どことなく似ている。
この映画のラストは意見の分かれる所なので、結末には触れないでおく。
見所はキッチュな90年代ファッション、インテリア。どでかいブラウン管テレビ、スケルトンの電話、ヒョウ柄のスカート、ワークブーツ・・・70’sの古着なども全部カワイイ。
それにシニカルな会話が加わって、退屈な日常がコミカルに描かれていく。
中でもスティーヴ・ブシェミ演じるシーモア・・・最高にイケてなくて愛おしい・・・ブルース、それも30年代とか40年代のものをコレクションしていて、もちろんツー・タッグ・パンツにシャツ・イン。オタクちゅうのオタクなわけで、イーニドの琴線に触れるのも良く分かる。
スティーヴ・ブシェミ好きとしては外せない映画である。
脇役でブラッド・レンフロがでているが、昔の面影無く、どうしたのかと思っていたら、この映画の4年後くらいにオーバードーズで亡くなってしまった。
時は流れてもう20年前の映画なのだけれど、思春期を描いた作品の中ではイチオシである。
文責:Y